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12/27 ファーストコンタクト 2015年

三宮で合流することになっていた。

 

土日はいつもは彼女の部屋に泊まるのだが、昨日だけは、寮の片付けが完了してない為、戻ることにした。一年三ヶ月という短さに相反して、荷物が増えており、荷造りやゴミ捨てに集中したが、中々終わりが見えない。名古屋の実家から大阪に出て来た時はだいぶ整理してきたのだが、とにかく本や服が嵩張ってきた。 

 

雑然とした部屋を見遣り、駅へと向かった。真冬を象徴する薄暗い天気の中、ポケットに手を突っ込み南海電車を待つ。天気、がらんとした駅の空気、私の心情は必然と一致しており、この後のイベントに対する緊張感はどこへやら、気持ち良ささえあった。

 

今まで引っ越しは多くなかった。しかしこの二年の間にまさか二回やることになるとは想定してなかった。見慣れた光景に対してのカウントダウンは、荷造りしてから始まる。部屋の数字、コンビニの店員、些細な事から大きな事まで、全てにバイバイを言う。見慣れた環境から自ら離れること、こんな一方的な別れほど辛いものはない。寂寥感を噛み締めたまま、私は三宮で彼女と合流した。

 

頭の中は、混沌としてきた。彼女の両親へは初めての挨拶であり、また人生で初めて結婚について触れる。年末感漂う車内の空気とは裏腹に、2人のカップルの空気だけは異なっていたに違いない。しかし、真っ白な頭の中では、数日前から続いている、日本に置いていく彼女に残る切なさへの代償を埋める作業が延々と続いていた。言ってしまえ、言ってしまえ。

 

その場の様子見て、言うね。姫路に近づいてる中、僕は彼女に対してそんな様な事を車内で言っていた。

 

その数時間後、まさかあっさりと結婚の承諾頂くとは。

 

「家族になるのだから、泣かせる様なことだけはするな」あっさりとした気持ちの後には事の重大さが襲って来た。