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2/18 fumi 漆黒の闇に輝くネオンの街

妻へ。
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私は遥か彼方の、銀河系ができるとかできないとかの約1ヶ月前、貯金で貯めたストレスを片手に握りしめ、私の住む近くの、漆黒の闇にキラキラと輝くネオンの街、そう商業街に足を踏み入れたのである。

言うまでもなく、私という人間は誘惑に弱い阿呆者で、疲弊感に打ちひしがれた際は、精神はただの揚げたてのシソの葉の天ぷらくらいパリパリなのである。それくらい脆いと身体を華奢な足で支えなくてはならず、しかしフラフラの私は有り余る体力を振り絞り、一軒の暖簾をくぐった。人間、精神が脆い時はドアすら重く感じるから不思議である。

「イラシャイマシ〜」

ここは日本か中国かの識別に阿呆の脳味噌が躊躇するくらいの日本、日本語、日本食。どこでもドアで日本へ瞬間移動したかのような、いや外国映画によく出てくるニセモノジャパンのような錯覚に、多少の違和感を感じながらも半日本的環境に親近感を覚え、私はメニューを高速で舐めまわした。

「どれも旨そうじゃないか!」

そう写真は、はである。騙されてはならない、だってここは中国なんだもん。歯磨き粉に漂白剤を入れる摩訶不思議カオス国家である。枯れた山にペンキで緑色に染める反エコ国家である。少し言い過ぎた。私は恐る恐る、いくらの軍艦巻きとサーモンの寿司とサラダをたのんだ。恐る恐るにしては恐る恐るではなかった。腹が減っては恐れられない。いや嘘だ。

そんなことはどうでもいい。しかし、驚くことに、ニコニコした店員さんが持ってきたいくらの軍艦巻きは、何と本当に軍艦巻きであったのだ。あのプチプチとした食感に甘塩っぱい味覚は存在した。これは夢なのか。サーモンもサーモンサーモンしている。サラダは普通だ。これは夢ではない。まあまあ、いけるじゃないか。ビールもアサヒだ。お、日本のテレビドラマもやっている。

そんなこんなで2時間が経ち、お会計を払い、満腹の状態で店の外へ出た。

「プププー!!」

突然のクラクション合唱団に、私は我に返った。

「あ、ここは中国だった…」