2/25 fumi 役職を貸した時の話 その2

妻へ。

僕は何とか具体的な交渉プランを上司に説明すると(結局、担当ではなく僕が考えている?)午後2時に業者へと向かった。僕の公司、いえ失敬、会社では従業員の安全を考慮し自家用車での移動は禁じられている。外出するのには常にレンタカーだ。そのレンタカーは当たりハズレがあり、当たりの場合は高級車やダンパーやアブソーバーが良くて振動があまりない車。一方、ハズレはその逆である。話が脱線した。

移動中2時間、僕は担当の彼と日本語でいまの業務を日本で担当していた時に、上司からこんなこと言われたという話をたくさんした。例えば、仕事はメールや処理で進むこともあるけど、結局は仕事は対人間なのだから、気持ちや感情もすごく大事だという話をした。良い意味で営業さんと仲良くしなくてはいけないし、時にはケンカ(約束守らない時に)なんてこともあってもいい。

先輩風吹かせるつもりないが、そんなこんなで話してるとあっという間に業者に着き、早速打ち合わせかと思えば、納期調整中の現場へと向かうことになった。

僕は口を出さない。ただ、彼のやることを一挙手一投足を見逃さず眺める。担当の彼は営業に対してかなり穏やかな口振りである。すると、肩を組みあったりして、談笑すら始めたではないか。これは、流石に日本でも全く見ない光景なので彼なりの作戦かと思うかもしれないが、中国では距離感を縮めるためかこんな仕草はよく見る。ホモではないのでご安心を。

問題のあるモノを眺めて1時間。中国語レベル赤ちゃん以下である僕が、言葉は分かっているフリをして頷き立っている間に、事は要求通りに物を納めるという決着を彼はやってのけていた。つまり、僕は立って眺めていただけ。すんごく寒かったよ。すんごく暇だったよ。暇だから途中でメールしたり電話したりしてたよ。んで、1時間経ったら、もう終わってんの。「要求通りは無理です!」って言われて担当も困ってたら僕の出番じゃん。腕まくりして、「こんなのはどうでしょうか!」って具体的に示すじゃん。「何とかやってみましょう!」ってなるじゃん。そんなストーリーを描いていたわけよ。僕の5時間なんだったのよ。

てなことで、僕は偉い人いう肩書きをぶら下げて立ってたってだけで、今回の出張はあっけなく終わってしまった。僕も微力なのは否定しないが、管理職はそういう役割もあるのだなと痛感したよ。